
SHIROの素材vol.5 ヨモギ
兵庫県赤穂郡上郡町・北海道愛別町
素材との出会いから始まるSHIROのものづくり。
日本各地の生産者さんと共に、自然が育んだ素材の恵みを最大限に引き出す製品開発に取り組んでいます。
そんな私たちの原点である、それぞれの素材に出会うまでのストーリーをお届け。
vol.5は、森の未来を紡いでいく素材「ヨモギ」についてご紹介します。
香り高く生命力の強いヨモギ
ヨモギは古くから食用やヨモギ蒸しなど、さまざまな場面で日本人にとって身近な植物として活用されてきました。冷え症や腰痛、痔、あせも対策の浴用剤に使用されたり、切り傷や虫刺されに揉んだ葉をつけたりするなどして、人々の生活に寄り添ってきたのです。 葉の美しく深い緑色は、還元力や身体を整えるちからのある天然クロロフィルからつくり出されています。
ヨモギは自生力が強く、自ら太陽の光を求め、地面を埋め尽くすほど成長します。SHIROは、そのパワーを詰め込んださまざまな製品をつくってきました。
ヨモギを使ったものづくり
SHIROがヨモギの製品をつくり始めたのは、前身ブランドの「LAUREL」時代に遡ります。2011年、創業の地である北海道砂川市の吉川食品と協力し、「sozai LAUREL」シリーズにて、北海道産ヨモギを活用したスキンケアラインをスタートしました。ヨモギを茹でるときに出る蒸気を冷却し、蒸留水としてフェイスマスクや化粧水に。よもぎ餅用のヨモギペーストをバスパックやスクラブ、石けんに用いました。自然素材の可能性を模索する姿勢は、今のものづくりと変わりません。
その後、SHIROへとリブランディングをして、2022年には、オイルコレクションの『ヨモギオイル』が誕生しました。素材として使用させていただいたのは、兵庫県赤穂郡上郡町のフレッシュファーム奥本さんのヨモギです。奥本さんは、ヨモギを含む作物を「食育などで悩んでいる方にも安心、安全な食材を届けたい」という想いで育てていらっしゃいます。2025年1月に初登場したインナーケア製品『ヨモギ&クマザサ&アスパラガス&モリンガ ドライパウダー』でも、奥本さんが育てたヨモギが爽やかなグリーンの風味と、やさしい甘さのある口当たりやわらかな味わいをつくり出しています。

そして2024年、北海道愛別町から届いた採れたてのヨモギを使った、旬シリーズ『ヨモギオイルインウォーター』が登場し、販売後すぐに完売になるほどご好評をいただきました。
いつの時代も、ヨモギは深くまろやかな癒やしの香りとともに、私たちの肌と身体のケアをしてくれました。

ヨモギが森の未来を紡ぐ
2025年8月に新登場したのは、定番製品のヨモギシリーズです。北海道愛別町の自然の中で力強く育ったヨモギは、みずみずしい潤いと豊かな栄養、そして深くまろやかな香りを蓄えています。その魅力を引き出した、森の素材として初めての定番スキンケアが誕生しました。

ヨモギの潤いを全身に浴びることができる「フェイスミスト」と、リッチな保湿感のある「オイルインウォーター」、人気の『ヨモギオイル』の処方をベースにした「クレンジングオイル」、そして、濃厚なテクスチャーで肌を守る「フェイスクリーム」の4製品です。どのアイテムも収穫したてのヨモギを使い、北海道長沼町にあるMAISON SHIROなどでフレッシュな状態で蒸留し、ヨモギ本来の香りを贅沢に閉じ込めました。
製品のためにいただいたのは、植樹した幼木に十分な栄養を与えるために刈り取られた、高さ1~2mにまで成長する大型のヨモギ「ヤマヨモギ」です。これまで“雑草”として刈り取られてきたヨモギは、その後なかなか有効活用されていませんでした。SHIROのものづくりに使わせていただくことで、誰かを笑顔にする“宝物”に生まれ変わったのです。
この活用が叶った背景には、愛別町の森を管理されている、林業家の福山寛人さんの存在があります。今、目の前にある木々だけでなく、森を構成するすべての植物や生き物、そして数十年先を見ながら、「森の本来あるべき美しい姿を残し、未来へと繋げていきたい」と、福山さんは考えています。

農林業に携わる傍ら、北海道・道北を拠点に、“福山農林合同会社”と“株式会社遠森(とおもり)”の2社を通じて、森と人の未来に向けた多角的な取り組みを展開されている福山さん。「未来に語り継がれる風景をいま整える」という理念のもと、森林業や地域資源の在り方そのものを見直し、循環型の実践や人材育成にも力を注いでいるそうです。個々では成し得ない未来の森づくりを、組織の力によって現実の挑戦へと変えながら、次代を担う人づくりにも真摯に取り組まれています。

そして、林業だけでなく農業にも注力し、奥様は狩猟をされています。目の前の木だけを見るのではなく、森全体をひとつの生命の営みとして見ているからこそ、手を加え過ぎず、自然がありのままでいられる森づくりをされているのかもしれません。例えば今回のヨモギの収穫においても、必要だからといって採り過ぎることはしません。森の生態系を崩さないように、収量を決めています。SHIROはその考え方に共感し、福山さんとともに、森の都合に合わせたものづくりをしています。

SHIROが目指すのは、不要になったものを再活用することだけではありません。それが地球に還元されることで本質的に循環し、巡り巡って誰かをしあわせにするものづくりがしたいのです。ヨモギシリーズも、福山さんの描く未来と、SHIROが目指す未来が同じだからこそ、製品化することができました。
“素材の魅力”とは、その背景にいる生産者さんの考え方も含めてです。輝かしいパワーをもつヨモギの魅力を、もっと多くの人に伝えるために、肌への効果はもちろん、製品の香り立ちや配合量など細部にまでこだわりました。SHIROの製品をお使いいただきながら、森の未来が良くなっていく過程を、少しでも感じていただけたら嬉しいです。
福山さんの森との向き合い方や、森の可能性について、SHIROの自社メディア「SHIRO PAPER ISSUE 5」で綴っています。全国の直営店や公式オンラインストアにてご覧いただけますので、ぜひお読みください。