SHIRO HUMAN | シロはとことん素材と向き合える環境がある

SHIRO HUMAN中川 美由紀 Miyuki Nakagawa
取締役 開発グループ
1997年⼊社

全ての製品に思い入れがあるなかでも、最近特に気に入っているのは「酒かす米ぬかシリーズ」。
お肌がもっちりと仕上がり、マット感があってテカリが抑えられるのが好きなところ。

ハーブの魅力を知り、
やりたいことに出会えた
ローレル時代。

シロの前身ローレル時代に入社して、もう27年目になります。食品に携わりたいと就職先を探していたとき、説明会でジャムやソースなどを手がけていたローレルを知り、道内にこんなに面白い会社があったんだ!と、入社しました。食品を扱う中で、特に興味が湧いたのがハーブでした。とても香りのいい、なんて素敵な植物たちなんだろう、と。その後、わたしにとっての大きな転機は、sozai LAURELシリーズが立ち上がったこと。ハーブも含めた植物由来の素材を扱う仕事こそが、わたしが本当にやりたかったことなんだと気づいたのです。

ある日突然、
開発室に昆布が届く。

今でもそうなのですが、ある日突然、浩恵さん(会長)を通して生産者さんから素材がポンと届くんです。たとえば「いい昆布に出会ったんだけど、エキス取れない?」という感じで。今となっては素材だけが送られてくるのは日常茶飯事ですっかり慣れましたが、当初は、土がついたままだったり、選別もされていない収穫物がそのままゴロっと送られてくることに驚きを感じていました。でもわたし自身も植物に興味があるので、向き合ってみることにしたんです。

どんな成分があるのか、どうしたら有効成分を最大限抽出できるのか。最初に取り組んだ、がごめ昆布の開発段階でいろいろと試していたら、抽出したエキスのまま化粧水になるかも?と思ったんです。そこで、そのままをボトルに入れて、「使ってみてください!このとろみ、使用感いいですよね?」と、当時砂川にいた浩恵さん(会長)の席に持っていき、みんなで肌につけて試してみました。
最初はエキスをそのまま化粧品にすることがいいのかどうか、誰も分かりません。でもわたしは、素材そのものの保湿力を実感していたので、自信をもって伝え続けたところ、ついに「がごめ昆布シリーズ」が誕生しました。

エキス抽出から手掛けたのは初めてでした。通常ならエキス専門の原料会社から仕入れたエキスを配合して、安定性を重視したものに仕上げるのが一般的な化粧品のつくり方。色にばらつきがあったり、おりが少しでたりしただけでもエキスとしては不良品となるのが普通です。それまでの常識からしたら素材の色も香りもそのままなんてもってのほかだったのかもしれません。それでも、自分たちでつくってみたら、このやり方のほうが安心だし、なにより素材そのままの力を自分たちの肌で実感できるから良いよね!と、なったのです。シロのものづくりの原点ですね。

素材のもつ可能性を、
最大限に引き出したい。

「がごめ昆布シリーズ」の開発で経験した、届いた素材からエキスを抽出し、化粧品まで落とし込む開発が、こんなにも面白くて、これほどにも情熱を傾けられるとは!と、自分自身でも驚きました。これがわたしのやりたかったことだったんだと、改めて実感しました。
また、工場で手搾りによってエキスを抽出している「酒かす」ですが、一番最初に何気なく身近にあった布でぎゅっと搾ってみたら、とても良い仕上がりだったことがきっかけなんです。製造ラインに乗せるのに、効率化も考えてみたのですが、「手で搾る」、これが現段階ではベストな方法。以前はどちらかというと、製造に負担のかかる効率の悪いことはしたくないという考えでしたが、効率よりも、素材の良さを引き出すことを優先できるようになったのは、昆布の開発でそこに自信とやりがいを感じることができるようになったからだと思います。素材が届くと嬉しくて、まずは一口食べてみます。粘り気や香りなど、どんな可能性があるのかを探る意図もありますが、単純に美味しいか美味しくないかも気になるんですよね(笑)。

笑顔を眺めながら、
素材に向き合う。

わたしは毎日届くお客様の声をチェックするのが楽しみのひとつなのですが、「お肌が綺麗になりました」などというお声をいただくと、モチベーションにもつながりますし、ご意見を開発に活かすこともあります。2023年にオープンした「みんなの工場」の開発室からは、ガラス越しにお客様が買い物するショップを見ることができます。直接言葉をいただけるわけではありませんが、楽しそうに製品を手に取るお客様の姿を間近に感じられるこの環境にとても感謝しています。

「みんなの工場」ができて、
喜びが増えた。

お客様にも見えるスペースになったことで適度な緊張感があり、綺麗にしなくちゃと意識するようになったのもよかったかなと。また、製造エリアに原料保管用の冷凍室と冷蔵室が設置され、素材の受け入れから処理まで鮮度良く保管できるようになったことが個人的にうれしいポイントです。開発や製造の環境も整い、次は一体どんな新しい素材が届くか、ますます楽しみなんです。

WRITER : MIKIKO TAGUCHI

PHOTOGRAPHER : KEITA SAWA

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