「SHIRO 15年目の宣言」を形にした第1号店
資源を見つめ直し、未来へ繋げるお店づくり。

2024年3月に「SHIRO ルミネ池袋店」が増床リニューアルオープンしました。
本質的な循環のために廃棄物ゼロを目指す「15年目の宣言」表明後、初めて行うお店づくり。
すべての資源を見つめ直すことで、あらゆる素材の良さを再発見し、新たな価値をデザインすることから始まりました。

循環する未来をつくる建築

ブランドが生まれて15周年を迎える2024年、私たちは「15年目の宣言」を表明しました。すべての資源の価値を見つめ直し、本質的な循環のために廃棄物ゼロを目指して、「ものづくり」と「お店づくり」に注力していきます。
従来の建築・建設業界では、安心安全な建物をつくるための資材の在り方を模索する一方、それらがいずれ産業廃棄物となるときに循環やリサイクルを行いやすい仕様になっていないことが殆どです。
設計者や施工者、施主などのつくり手自身が、いずれ老朽化し改装や解体を行うことも想定してリサイクル可能な資材を選べば、廃棄物を生み出さない循環可能な建築が叶うのです。
そこで、宣言を形にする第1号店となる「SHIRO ルミネ池袋店」では、バージン材を使って新たにつくり変えるのではなく、社会の中で一度は不要となったものにクリエイティブを注ぎ、生まれ変わらせて使うことに取り組みました。今回の店舗デザインも、「SHIRO ルクア イーレ店」やシロの東京オフィス、北海道長沼町に同年4月にオープンした「MAISON SHIRO」を担当したDRAWERSの小倉さんによる設計。SHIROとともに、新たなお店づくりに挑戦してくださいました。

SHOP DESIGN 1 
捨てずに活かす

2023年9月にリニューアルした「SHIRO ルクア イーレ店」のときと同様に、「SHIRO ルミネ池袋店」でも既存の什器を使用しています。リニューアル前の池袋店は、赤いフェンスや壁面棚が印象的な店舗デザインでした。

リニューアル前の店舗画像

2018年にルミネ池袋店に出店し、2019年3月に移設リニューアルしてから5年間、たくさんのお客様をお迎えしてきました。什器には製品をお試しした跡があり、フェンスや棚には赤い塗装が剥がれている部分がありましたが、いずれも問題なく使えるものばかり。

再利用したフェンスの画像

これらを捨ててしまうのではなく、新しい店舗イメージに合わせて白い塗装を施し、フェンスの一部はレジ後ろの壁として使用、壁⾯棚は中央の柱の什器に再活用しています。
そして、製品が並ぶカウンター什器や床も、必要な部分を補修しながら新しい店舗で使用しています。

水道の名残の画像

また、以前の店舗には製品お試し用のために蛇口の付いた什器がありましたが、それも表層替えだけを施して再活用しているので、収納部分の扉を開けると水道の名残があるのです。
これはご来店いただいた皆様から見える部分ではないのですが、そのまま使っているからこそ残るものの愛らしさを伝えたくて、ご紹介させていただきました。 「まだまだ使える部分は活かす」。ものづくりやお店づくりだけでなく、何においても必要な考え⽅だと思っています。

SHOP DESIGN 2 
一度は不要になったものにクリエイティブを注ぐ

杉材の画像

リニューアル後の店舗で、最初に皆様をお迎えするのは杉の木から生まれた大きなカウンターです。これは、素材巡りをする中でSHIROが出会った、千葉県鴨川市で豊かな香りと味を持つハーブやエディブルフラワーを育てる農園、苗目さんからいただいたもの。農園近くの里山の環境を再生していく中で、放置されていた杉を間伐し、その杉材でログハウスをつくる際に出た余剰材です。

カウンター什器の画像

里山に置いていたその杉材を分けていただき、樹皮を剥ぎ少し整えて、大小サイズの異なる木を重ねることでカウンター什器が誕生しました。店頭ではほんのり杉の香りも漂い、つくられていない自然本来の美しさや温もりを感じていただけます。

柱のタイルの画像

ビジュアルを掲げる中央の柱やレジカウンターには、タイルを使用しています。これはタイル販売所からいただいたものたちです。住宅用として販売しているタイルの検品時、とても厳しいチェックにより弾かれたものを小倉さんが見つけてきてくださり、埋立地利用にまわされる前段階でお譲りいただきました。

端が欠けているタイルの画像

ほんの少し端が欠けていますが、タイルとしての役割は果たせるものばかり。本来の用途に即して使用することで、加工や形成にかかるエネルギーも軽減した素材の再活用です。

天板の画像

リニューアル前のまま活用している什器には、天板を加えリメイクを施しました。この天板部分の平板には、建設解体現場から出る廃棄物に混ざった土砂からつくり出した素材「NS-10」を使用。お店づくりにおける新しい試みとなりました。「NS-10」は、廃棄物を再生し資源化されている石坂産業さんからいただいたものです。今までは盛土材として路盤材や埋め戻し材に使われてきましたが、石坂産業さん以外での建築資材としての使用はSHIROが初めてとなります。約200枚ある平板は、1枚ずつ型に入れて手づくりで生み出されたもの。天板として、そして重ねて製品を並べる台として、1枚ずつ異なる表情が店舗にニュアンスを加えます。

SHOP DESIGN 3 
未来を考えて新しくつくる

新たにつくり出した什器の画像

増床するにあたり、新たにつくった什器もあります。従来と異なるのは、釘や接着材を使わずパーツごとに組み上げるつくり⽅。パーツごとに違う組み合わせを⾏えば、再度⼿を加えることなく他店舗などで活⽤できます。ただつくり出すだけでなく、メンテナンスなど次の機会のことも考えてつくりました。

また、新しい店舗で使用しない棚などの什器も廃棄はせず、収納部分の⼀部は同年3⽉に渋⾕PARCOで開催した「SHIRO 渋⾕PARCO POP UP STORE」で⼆次利⽤しました。その他の什器なども北海道砂川市にある「みんなの⼯場」に送り、また必要となる⽇まで保管しています。さらに今回、⼯事で発⽣してしまう⽯膏ボードやがれき、鉄、廃プラなどの産業廃棄物1,210kg(2024年2⽉28⽇時点)の分別まで石坂産業さんとともに見守り、資源化率は100%と予想されています。産業廃棄物も地球から⽣まれる資源として、価値を⾒つめ直すことが未来に繋がるはずです。

リニューアルした店舗の画像

SHIROのものづくりやお店づくりを通して伝えたいのは、「つくる責任」とは誰かに渡った後の「未来をつくり守る責任」でもあるということ。どれだけ素敵なものをつくり出しても、いつか手放すときに廃棄物にしかならなければ循環する世界は叶わないのです。一度は不要となったものでも、見方を変えながらそれぞれの良さを再発見し、価値をつくり出すことで、巡っていくのだと思います。 私たちの周りには、そんな可能性がたくさん溢れています。

PARTNERS

小倉 寛之 / DRAWERS

小倉 寛之 / DRAWERS

設計を担当したDRAWERS の小倉 寛之さんは、空間デザインにおいて美しさや利便性を追求すると同時に『つくる責任』を意識し、未来を考えたプロダクトデザインやクリエイションを行っています。
また小倉さんは、2024年4月にオープンする北海道夕張郡長沼町の一棟貸し宿泊施設「MAISON SHIRO(メゾンシロ)」の設計や、シロの東京オフィスの設計も担当しています。

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