素材や資源の魅力を最大限に引き出す
ポータビリティを軸にした、廃棄物を出さないお店づくり

2024年3月、渋谷PARCO 1Fにて「SHIRO 渋谷PARCO POP UP STORE」を開催。
2021年以来約3年ぶりに実施したポップアップイベントでは、SHIROの想いを込めたお店づくりで会場を彩りました。

発信力のある場所で、捨てないというブランド理念をデザイン

渋谷PARCOの入り口

常に新しい文化が集まり、発信し続ける渋谷PARCOは、ファッションやビューティー、多様なフード、映画にアート、テクノロジーなどさまざまなカルチャーが入り混じる、ラグジュアリーかつカオスなスポット。最先端のジャパニーズカルチャーに触れることができるため、海外からも大勢のお客様が足を運びます。

ブランドが生まれて15周年を迎える2024年、私たちは「ものづくり」と「お店づくり」の2つにおいて、すべての資源の価値を見つめ直す「15年目の宣言」を表明しました。
「ものづくり」においては、リニューアル前の残香料や容器など、限りある資源から生まれる二度とつくれない限定フレグランス「ZERO COLLECTION FRAGRANCE」を発売。そして「お店づくり」においては、世の中で一度は不要となったものを再活用し、「SHIRO ルミネ池袋店」を増床リニューアルするなど、宣言を形にするための取り組みを行ってきました。

その次なる舞台となったのが、「渋谷PARCO POP UP STORE」です。
捨てられるはずだったものを資源化し、それらをそのまま活かす工夫を施して持ち込むことで、廃棄物を生み出さずにお店をつくりました。

SHOP DESIGN 1 
手を加え過ぎず唯一無二のものへ

廃棄物を出さないお店づくりを目指し、今回のポップアップストアづくりでも、一度は役目を終えた資材を再活用することに注力しました。しかし、バージン材を使わずに店舗をつくり出すというのは、非常に手間がかかるのです。過去に別の用途で使われていたものや、一度不要になったものは、次の目的に沿うよう手を加えなければなりません。

クリエイティブを注ぐことで、これらを新たに生まれ変わらせることはできます。ただ、この先も繰り返し使うことを考えると、今ある資源をそのままの形で素材として活かし、手を加え過ぎないことも大切になってくるのです。

平台の什器

店内の製品を並べる平台の什器には、木造建築を解体した際に出た木材を使用しました。これは産業廃棄物中間処理場に運ばれてきたもの。この木材を接着剤や釘を使わずにベルトで束ねることで、使用後も分解しやすく、形を変えて再活用できる仕様にしました。ガラスの天板越しに上から覗くと、丸太や角材が入り混じっている様子が分かります。この丸太はかつてロッジに使われていたのだとか。

また壁面棚にも、産業廃棄物として運ばれてきた板材を使用し、表面だけに塗装を施しました。表面だけ加工したのは、製品の底面が触れる場所だから。側面から見ると、“木”本来のやわらかさが感じられます。そして壁面棚の支柱にも、平台同様に家屋の解体現場から出た木材を使用。奥まで覗き込むと、かつて大工さんが書いたであろう「丸太」などの文字が残っているものも。もしかしたら、お買い物をしながら見つけた方もいるかもしれません。

再活用した木材

木材を加工し過ぎず再活用しているからこそ、ストーリーも一緒に引き継がれる――素材のもつ味わいをそのまま活かした什器は、無骨でありながらも温もりを感じる、唯一無二のものなのです。

SHOP DESIGN 2 
持ち込んでつくり込む

今回施工にかかったのは、たった一晩。世界各地の商業施設に次々と現れるポップアップストアの施工は、閉店後の夜から朝にかけて行われ、お客様の目にとまることなく、翌朝になると完成しています。期間限定の特別な店舗なので、シーズナルアイテムやビジュアルなど、人目を引くよう華美につくり込まれることが多いのですが、期間終了とともに、たった一晩でそれらの多くは廃棄物と化してしまうことも。
そんな業界の“あたりまえ”も変えていきたいと思い、SHIROのポップアップストアでは、つくる時も終了してからも、廃棄物を出さないことを目指しました。

再活用した壁面棚

壁面棚の収納部分は、「SHIRO ルミネ池袋店」で以前使われていたものを持ち込んで再活用。床や天井、壁面もブランドイメージに合わせた装飾はせず、渋谷PARCOのものをそのまま使用。元々の場所に合わせた店舗設計をすることで、撤収時の産業廃棄物をなくしました。

再活用するパネルやネオンサイン

ポップアップストアの店頭で皆様をお迎えした、がごめ昆布美容液のビジュアルパネルは、期間終了後も廃棄せずシロの東京オフィスのエントランスで掲出します。木材を束ねた平台什器や、オープンから数日間渋谷PARCOの正面入口に設置していた”SHIRO リユースマーク”のネオンサインは、北海道砂川市の「みんなの工場」に持ち運びます。その他の壁面棚なども持ち帰り、次のお店づくりに再活用していきます。
つくる時から、次の使い道を考えてつくる。これがSHIROの新しいお店づくりです。

限定製品にも想いを込めて

『ゼロホワイトフィグ』製品

自然の恵みを最後の一滴まで余すことなく使っているブランドだからこそ、使われなくなったすべての資源を素材として活かしたい。そんな想いから誕生した「ZERO COLLECTION FRAGRANCE」。「SHIRO 渋谷PARCO POP UP STORE」では、渋谷PARCOをイメージした限定の香り『ゼロホワイトフィグ』をつくりました。

限定フレグランスとして過去に販売し、復刻の声を多くいただいた「フィグ」をメインに、その新たな魅力を引き出すように同じく限定フレグランスとして好評を得た「ホワイト」などの香料を加えて生まれた『ゼロホワイトフィグ』。ブランド初登場となる「ジェルパフューム」には、販売終了となったメイクアップ製品のラメを活用。カテゴリーを超えて、賑わいと華やかさの中に多様なカルチャーが心地よく共存する、渋谷PARCOらしさをSHIROフレグランスで表現しました。

渋谷PARCOの様子

さまざまなカルチャーや体験を求め、多くの人が訪れる渋谷PARCO。そんな場所だからこそ、「世の中をしあわせにする」という私たちの想いを伝えたくて、ポップアップストアにこの場所を選んだのです。

廃棄物ゼロを目指すためには、限りある資源を余すことなく使う。そして、廃材を使用して満足するのではなく、つくり出したものも再活用しやすくする。また、つくり込みを最小限に抑えることや、素材のもつ味わいをそのまま活かすことの大切さなど、「お店づくり」と「ものづくり」に込めた私たちのメッセージが、ひとりでも多くの方に届いていることを願っています。

PARTNERS

小倉 寛之 / DRAWERS

小倉 寛之 / DRAWERS

設計を担当したDRAWERS の小倉 寛之さんは、空間デザインにおいて美しさや利便性を追求すると同時に『つくる責任』を意識し、未来を考えたプロダクトデザインやクリエイションを行っています。
また小倉さんは、2024年4月にオープンする北海道夕張郡長沼町の一棟貸し宿泊施設「MAISON SHIRO(メゾンシロ)」の設計や、シロの東京オフィスの設計も担当しています。

小倉さんのデザインする、
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