自然が生み出す普遍的な美しさが
SHIROのものづくりと銀座の街の華やかさを繋ぐお店づくり
2024年6月に「SHIRO 銀座三越店」が増床リニューアルオープンしました。
既存の什器をそのまま活かしながら、表層替えを行った改装工事。
飲食店で廃棄される予定だったアワビの殻を用いて上品さと華やかさを生み出すお店づくりとなりました。
銀座の中心にある老舗百貨店
伝統を重んじながらも、洗練された華やかさと品格が漂う銀座。
そして、その街並みを行き交う人を見守るように、中心地に位置する「銀座三越」。
SHIROの前身ブランドLAURELの時代から、銀座三越の催事に参加させていただきました。そして2019年9月、本館地下1階でのポップアップイベントにてたくさんのお客様をお迎えし、同年11月に「SHIRO 銀座三越店」をオープンしました。ふらりと立ち寄りやすい、仕切りのないオープンな構え。製品棚と中央カウンターは白い玉砂利を混ぜ込んだ左官材で仕上げ、ネイビーとホワイトのコントラストを強調したシンプルなデザインが特徴的な店舗。そんな「SHIRO 銀座三越店」が、2024年6月に同エリアにて増床し、リニューアルオープンを迎えました。
SHIROのお店づくりの“当たり前”
SHIROは極力ヴァージン材を使わず、今ある資源の価値を見つめ直しながら、再構築するお店づくりに取り組んでいます。
既存の什器に表層替えのみを施してそのまま使用したり、余っていた製品容器を砕いて左官材に混ぜたり、不要になった什器は別店舗の什器として再活用したり。
自然の恵みをいただきながらものづくりをしているブランドだからこそ、つくった先の未来も考え、地球上の廃棄物を減らしていく―― こうした考え方は、私たちにとって今では当たり前になっています。
銀座三越店のリニューアルでも、既存の什器を表層替えして継続使用することを前提に、どんなクリエイティブを加えてSHIROらしさを表現するか、どうやったらお客様にワクワクしてもらえるか、設計士の小倉さんとデザインについてディスカッションしました。小倉さんからいただいた提案は、ホタテの殻を再活用するというもの。ホタテは収獲量が多く*、かつてはその殻の大量廃棄が土壌汚染の原因となっていましたが、現在では塗料や壁材をはじめとする建築資材、アスファルトなどに用いられている他、主成分である炭酸カルシウムに除菌・抗菌作用があるので、石けんや洗剤などにもリサイクルされています。
* 農林水産省「令和4年漁業・養殖業生産統計」参考
SHIROもLAURELの時代から、この海の恵みに新たな価値を見出し、お店づくりなどに活用してきました。
2024年4月にオープンした北海道長沼町にある一棟貸しの宿泊施設「MAISON SHIRO」でも、廃棄予定だったホタテの殻を粉状に加工し、モルタルに混ぜ込んで使用しました。
人との繋がりが生み出すお店づくり
小倉さんからホタテの提案をいただいたブランドプロデューサーの今井は、ふと知り合いとの会話を思い出していました。アワビの殻の有効活用を研究している中学生(当時)から、殻の内側が虹色に輝きとても綺麗で、捨てられるのがもったいないからメイク製品などに使えないだろうか?という質問をもらい、殻の写真を見せてもらったことがあったのです。それは写真越しでもわかるくらい、光を受けて上品にきらめいていました。
小倉さんに相談し、飲食店を経営している知人の方から、廃棄されるはずだったアワビの殻を譲っていただき活用することになりました。「SHIRO 銀座三越店」の手前の平台や奥の棚の仕上げには、アワビの殻を粗めに砕いて混ぜた研ぎ出しタイルを採用しています。
アワビの殻に含まれる炭酸カルシウムの層に館内の照明が当たると、什器の一部が虹色にやわらかく輝きます。壁面の棚に並ぶ製品を歩きながら見ていると、自然と目線が移り、照明の当たる角度が変わるたびにキラキラと光るのです。
自然が長い年月をかけて生み出した普遍的な美しさと、人の知恵や技術が生み出すクリエイティブが調和した店舗デザインとなりました。 素材の生産者さんやお客様、ものづくりやまちづくりの現場、日本や海外、さまざまな場所で知り合った人たちとの繋がりや会話、そして何気ない日常での気づきなどから製品が生まれる瞬間があります。お店づくりもきっと同じで、点と点が繋がるタイミングがあるのです。
今回の店舗リニューアルも、さまざまな人との出会いや想いが繋がって、完成にこぎつけることができました。
今日もSHIRO 銀座三越店では、やさしくも洗練された光の中で、製品を愛するスタッフたちが皆様のお越しをお待ちしております。